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教育相談に行くようにと、紹介状をいただいて帰りました。
ただ、愕然とするっばかりで、何も手につかない日が続きました。でも子供のためにはこれではいけないと思い、家から遠いのですが一週間に二回、郡山ろう分校へ通いました。
家の仕事の間に、先生に教わったことを子供に教え続けました。何の知識もない私たちは、ろう学校の先生とは違って、何回も何回も繰り返して、やっとそれに似た言葉を覚えました。
でも、月日が経つにつれて、教えた言葉を数回で覚えてくれるようになりました。一日中、子供についていて、「教えてやりたい」そんな思いが頭から離れませんでした。
ところが、私の家は食堂と雑貨店をしており、とても忙しくて子供についてやれる時間が、なかなかできません。長男は町の保育園へ入っていたので、二男も少しでもと頼んでみましたが、断られて仲間入りさせてもらえず、昼間は一人でいることが多かったのです。
教育相談所に話してみると、「光風学園へ入れてみては」と言われました。三歳で親と離ればなれというのは、いくら心を鬼にしても決心がつきません。「子供のために」と自分に言い聞かせても、夜も眠れない目が続きました。
ようやく入園を決心し、月曜日の朝送っていき、土曜日の午後迎えに行く日程になっていました。月曜日の朝になると、勝広は火燵の中にもぐって出てきません。学園へ行っても、泣く子を先生に掴まえてもらい、わたしは逃げるようにして帰ってくる始末。子供も親も泣きました。あの辛さは今でも目の前に浮かんできます。
学園の先生、ろう学校の先生方の優しいよき教えで、とてもよい子に成長しました。躾は家

 

 

 

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